歌え、女神よ、ペーレウスの息子アキレウスの怒りを。
というわけで、今日はトロイを見ました。
Troy.

ホメロスのイーリアスは冒頭が、
Menin aeide, thea, Pele-iadeo Akhileos
あ、ギリシャ語の画像が在ったのでそれを使いますと

メーニン アーエイデ、テアー、ペーレーイアデオー、アキレーオス
怒りを歌え、女神よ、ペレオスの子アキレウスの…
(アクセントは良く分かっていない)
リズム的には、
メーニナ|エイデテ|アーペー|レーイア|ドーアキ|レーオス|
タンタタ、タンタタ、タンタン、タンタタ、タンタタ、タンタン
というリズムで何千行も続くらしい(だからこそ覚えやすいのだとアメリカ人は主張しているそうですが、)
という感じで始まるのだそうですが、ここで言う女神とは、ムーサの一人クレイオー(某研究室の院生が出している雑誌の語源)が歌うことになっている、つまり、神が巫女の体に乗り移って神の言葉として語る=真実の歴史、という形態をとっているのだと昔聞いた。
とまあ、神々が身近な存在だったギリシャ人達とは違って、一切不思議な力は出てこない、人間同士の争いとしてトロイア戦争を描いてます。
まあ、現実の人間として勇者アキレスを描こうとしてるわけですね。
アキレスの母、巨人族の女神ティティスなんて全然出てこないわけですし。
まず、冒頭。
アガメムノンがミュケナイの王というのはそのままなので良いとして、全ギリシアを制圧しようとしてたんだ〜、ふ〜ん。ってどうしてそんな設定なんだ?
アキレスがアガメムノンの軍隊に加わったテッサリア攻めシーンから始まるが、アキレスってテッサリアの出身なんだけど…。
父親ペレオスは、テッサリアの王なんだけど…。
アガメムノンの弟メネラオスがスパルタの王って設定はこれもそのままなので良いとして、パリスとヘクトールが講和の使節としてスパルタを訪れるって…。
パリスが美女ヘレネを手に入れるのは、愛欲と美の女神アフロディーテの導きがあったからでしょう!
まあ、そこは置いといて、今度は、全ギリシアから勇者を集めて取り返しに行くわけですが、ここで、全ギリシアが結集したのは、ヘレネへの求婚の際のオデュッセウスの誓い「ヘレネに害を加える者があったら、求婚者全員で協力して守ろう!」を果たす為でしょう(アキレスは求婚してないけど。)
さて、イタケの王オデュッセウスはもう、参加を決めた所から始まってるが、本当はオデュッセウスも(みんなに誓わせていたくせに)行きたがっていなかったので、陽狂(佯狂)を装うが、パラメデスに見破られると。
で、今度は(パラメデスには後で復讐するんですけど)、女神ティティスの助言で(この戦争に行くとアキレスは名誉を得るが死ぬという予言を受けていたので)女装してリュコメデス王の宮殿に匿われていたのだが、商人に化けたオデュッセウスが化粧や服など女性が喜びそうな品物の中に武器を紛れ込ませて、その武器ばかりに目をやっていたアキレスを見つける云々という件は一切なく、単なる説得で戦場に赴く…。
ふ〜ん、パトロクロスは、従兄弟なんだ。普通、ホモ・セクシュアルな感じで描くんじゃないの?多分、ブリュクセスがヘクターの従兄弟になってる所為だろう、と。
ま、兎に角ミュルミドーン(蟻人間)を率いてトロイアに行く、と。
で、まあ、女を戦利品で連れ帰って、アポロン神の神官の娘クリュセイスと、アキレスが連れ帰ったブリュセイスが一体化してますね…。
(クリュセイスがアガメムノンの戦利品になりブリュセイスがアキレスの戦利品になったが、アポロン神の神官が返してくれと頼みに来ると、皆が、特にアキレスがアガメムノン返せよ!と言い寄る。で、アガメムノンが怒って俺の戦利品を取り上げるなら、アキレスの戦利品をよこせよ!となって、アキレスは、やってもいいけど、もう戦争に加わらないもんね、知らないからね!と拗ねる、と。)
まあ、女の所為で戦場放棄するのは間違いないからいいか。
メネラオスとパリスの一騎打ち。
パリスが負けるのはその通りだが、負けたパリスの兜を持って引きずって行こうとするメネラオスだが、女神アフロディーテのご加護で兜の紐が切れるて逃げ出す。で、ヘクトルは、取り決めどおり負けを認めようとするが、神々の様々な思惑で、矢が飛んできて、メネラオスがその矢で傷ついて戦争再開、と。
あ、アイアス死んじゃった。上陸の時に一緒に戦えて云々とかいってるから、大アイアスならアキレスの従兄弟だし、顔見知りじゃないってことは、小アイアスの方か。小のくせにでかいな。ま、どっちも剛力の勇者って設定だけど。(結局、大アイアスは出てこないのね。)
映画みたいにヘクトルに殺されてメネラオス死にませんし、そもそも、ヘレンと二人で戦争後又暮らしてるから…。(その後二人でエリシュオンに行くらしい。)
まあ、このヘレンをどういう性格の女に描くかによって映画の質が変わってくるよね。
なんせ、神話では、今言ったように、メネラオスと再び暮らすんだよ…。その前に、パリスが死んでから、トロイアが落城するまで、別の人のものになるんだよ…。
自分の所為で戦争がおきた自覚あるのか!
ま、とにかく戦闘放棄したアキレスに代わって、アキレスの武具を使ってパトロクロスが戦場に出て、へクターに討ち取られる。で、その仇討ちにアキレスが戦場に復帰して、ヘクトールを打ち破ると。
ヘクトールが出てくるまで、場外から叫び続けるアキレスといい、ヘクトールを討ち取った後武具を剥ぎ取って戦車に死体を括り付けて引き摺り回すアキレスといい、何でそんなことやるんだ?ってのは、イリアスにそう書いてあるんだと知らなければ、意味不明だよね。
で、プリアモスがヘクターの遺体を引き取りにギリシャ側の陣営を訪れるのは、ゼウスの導きではなく、単に土地勘があるから…。
本当に極力神様とか怪力乱神は語らないのね…。
この後、パリスに殺されてアキレスは死ぬこともなく、パリスも死ぬこともなく、トロイの木馬が始まって、何故か城内でアキレスが死ぬことに。
というかその前に、アキレスがアガメムノン殺すし…。
アガメムノン、無事に帰国して、嫁さんと嫁さんの愛人に殺されるから、エレクトラ・コンプレックスの語源になるエレクトラが母親殺しをするんだが…。
…、あれ、結局パリス死ななかったよな。
アキレスは、まあ、踵は一応打ち抜かれてましたね。
母ティティスに、冥界の河スティクスに逆さに浸されたから無敵だとか
、その時踵を握ってた所為で踵が弱点だとか、そういうことは一切触れてないですな…。(アキレスが無敵な理由は、子供の頃ティティスに夜な夜なアンブロシア=神餅を塗られて焼かれていたからというのも在るそうな)
ギリシャ側は勝ってトロイアを占領したけど、主将が死んで何の為に戦争したか分からん見たいな結末になってましたね。
そうそうブリュクセスも、本当はアキレスの魂を慰める為に落城の際に捕まって殺されて、アキレスの墓に陪葬されるんですが…。逃げ延びたよね。
結局パリスとヘレネの国を滅ぼす駆け落ち物語だったと…。
まあ、美人のことを中国では傾城(城を傾ける)・傾国(国を傾ける)っていいますしね。
セットや戦闘シーンは迫力があって素晴らしかったです。
ブラッド=ピット良い男です。たまに本当にサルっぽいけど。
神話や叙事詩とは大幅に違っていたけど(カッサンドラやラオコーンとか出てこないし)、もう少し忠実に作ってくれていたら良かったのにな…。せめて、神様達が出てこないのは良いとして、パリスの死や、死んでない人が勝手に死ぬのとかをどうにかしてほしかった。
ま、女の人は美人ぞろいだったので満足ですが。
ヘレネよりアンドロマケ、アンドロマケよりブリュクセスの方がかわいかったです。 神話の話。
そもそも、人口が増えすぎただとか、神の権威を思い知らせるが為だとかで、戦争を起こそうと。
で、巨人族の女神ティティスは大層な美人だったので、ゼウスは自らが結婚しようとしていたが、知恵の巨人プロメテウスに、クロノスがその父ウラノスを、ゼウス自らが父クロノスを追放したように、自らの力を脅かす子供が生まれることになる、と示唆されて、人間ペレオスとティティスを結婚させることにした。もちろんティティスは人間の妻になることを最初は嫌がっていろんな生き物に姿を変えたが、ケンタウロスの知恵を借りたペレオスがついに屈服させて結ばれた、と。
で、その結婚式に、争いと不和の女神エリスだけが呼ばれなかったので、エリスは、結婚式の贈り物として、「一番美しい女神へ」とのメッセージとともに、西の果てヘスペリデスの園に生るという黄金の林檎を送った、と。
で、そこに名乗りをあげたのが、ヘラ、アフロディーテ、アテナの三人。で、判定役(アルビテル・エーレガンティアエ)を任されたのが、イーデーの山で羊飼いをやっていたパリスである。
このパリスは、そもそもアレクサンデルという名前で在ったが、出生の時に、母親ヘカベーの見た夢の中で、ヘカベーが炬火を産み、それが街を燃やし尽くす様子を見たため、国を滅ぼす子どもだということで生まれて直ぐ捨てられていたのである。
ヘラは、富と権勢、「世界の支配者」の位を与えると約束し、アテナは「戦争における勝利」、アフロディーテは、「世界一の美女」をそれぞれ約束したが、パリスはアフロディーテを選び、その世界一の美女として、ヘレネを紹介された、と。
美女ヘレネは、レーダの生んだ白鳥の卵から生まれた(白鳥に化けたゼウスがレーダに産ませた)とされる絶世の美女。ん、カストルとポルックスの兄弟も?
もうちょっと書こうと思ってたけど長いので飽きた。
まあ、こういう因縁とか一切触れてないよね。
タグ : ブラッド・ピット
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